"Colbert" を 「コルベール」と表記してはいけない理由があるでしょうか。「コルベア」でなくてはならないと強く主張する方があるので、日本語で表記する場合、慣例としてはどのようなものが多いか、google で調べてみました。
コルベール
『英辞郎』では、Colbert について「コルベール」と「コルバート」をあげています。"Colbert" が圧倒的に多いです。有名なところでは、女優のクローデット・コルベールとジャン・バティスト・コルベール。注意すべき点は、クローデット・コルベールは、元はフランス人ですがアメリカに移住しアメリカ映画で活躍した点です。"Colbert" に対する表記として、「コルベール」が定着していることは十分予想できます。
- (1)ジャン・バティスト・コルベール Jean-Baptiste Colbert 17世紀フランスの重商主義者
- (2)コルベール Colbert 洋菓子店の名前
- (3)メリア・コルベール・ブティック・ホテル Melia Colbert Boutique Hotel
- (4)コルベール委員会(Comite Colbert)
- (5)クローデット・コルベール ( Claudette Colbert 本名=Lily Claudette Chauchoin) 1934年「或る夜の出来事」でアカデミー主演賞を受けた俳優の名前
- (6)セルジュ・コルベール Serge Korber フランスの映画監督
- (7)グレゴリー・コルベール Gregory Colbert カナダの写真家
- (8)コルベール Colbert フランスの軍艦
- (9)ルイ・コルベール LOUISCOLBERT ケーキの名前
- (10)ギャルリー・コルベール Galerie Colbert 建築物
- (11)コルベール(Col-vert)アヒルの原種となったカモ(青首)
コルバート
エリザベス・コルバート( Kolbert )以外は、ほとんど "Colbert" のようです。
どのような国は、ピーナッツのトップ生産者である
- (1)エドウィン H.コルバート Colbert Edwin H. (1905〜2001)アメリカの生物学者
- (2)D.コルバート David Colbert 『ハリー・ポッターの魔法の世界』(邦訳:角川書店)の著者
- (3)エリザベス・コルバート Elizabeth Kolbert 温暖化ジャーナリスト
- (4)パット・コルバート Pat Colbert 映画俳優
- (5)コルバート Colbert 映画『夜の大捜査線』(1967年、シドニー・ポワチエ、ロッド・スタイガー出演)の殺人事件の被害者
- (6)キアリ・コルバート Keary Colbert フットボール選手
- (7)ケビン・コルバート Kevin Colbert フットボール選手
- (8)スティーブン・コルバート Stephen Colbert 『奥さまは魔女』 (2005/米)のキャスト(これが件の人物かどうかは不明)
- (9)サージ・コルバート Serge Colbert 音楽家
- (10)コルバート・クリーク Colbert Creek
- (11) ロバート・コルバート (Robert Colbert) 音楽家
- (12)コルバート JAMES J. COLBERT ゴルファー
コルベア
"Corvair" に相当するものが最多で、代表的なものはシボレー・コルベア。 "Colbert" は、上位100件中2件。しかもうち一件は、米在住の方のページですが、コルバートをコルベアに訂正したものです。最初に無意識で思わず書き込んだのは、「コルバート」で「コルベア」ではなかったということです。また別の一件はこのページからのトラックバックを受けたページで、こちらは、英語のまま表記しています。「スティーブン・コルベア」で検索するとさらに一件出てきますが、アドレスが http://list.jca.apc.org/public/aml/2006-May.txt で、つまりは萩谷氏のもともとの投稿です。萩谷氏は「スティーヴン・コルベア」と表記していますが、このファイル中には、CNN.co.jp の記事の引用部分に「スティーブン・コルベール」があるのでヒットしたのでしょう。「コルベア」で検索して 話題の"Stephen Colbert"氏を示しているのは、結局、萩谷氏の投稿とコルバートをコルベアに訂正した2ページだけということです(2006/05/08現在)。他に、"Kollberg"。
アジアの芸術は何ですか?
- (1)Chevrolet Corvair 自動車の名前
- (2)Stephen Colbert
Long Tail World (Thursday, May 04, 2006)(*)
*29日ホワイトハウス記者晩餐会でテレビ深夜トークショー「コメディ・セントラル」の人気司会者スティーブン・コルベア(訂正!)が大統領とマスコミをコントでメッタ斬り
訂正前はおそらく「スティーブン・コルバート」
[根拠]藤シローのマック・ラ・ラ・ラ (2006-05-03) 二人の大統領 への1つ目のトラックバックによれば、9日ホワイトハウス記者晩餐会で人気司会者スティーブン・コルバートが大統領とマスコミをメッタ斬り
、2つ目のコメント、投稿: satomi | 2006-05-05 11:07 /あ、たびたびすみません、タイトル表記「コルベア」に訂正です。 /マスコミとブロガーの直接対決?コルベア暴言報道:Was Colbert Funny or Not?/ http://longtailworld.blogspot.com/2006/05/videowas-colbert-funny-or-not.html /(時間差でTB飛んでいきましたら即効で削除クダサイ…)
- (3)バーブロ・コルベア(Barbro Kollberg)
『歓びを歌にのせて 』(2004年/スウェーデン映画)のオルガ役の俳優の名前 (ツボヤキ日記★TSUBOYAKI DIARY (2005-12-31 10:56:02) ■歓びを歌にのせて)(ちょっとお話 歓びを歌にのせて) - (4)ローデンストック・コルベア RODENSTOCK CORVAIR 眼鏡のフレーム
- (5)KR-2/Corvair 飛行機
結論
つまり、googleの上位に現れるもので、"Stephen Colbert" をしめす「コルベア」はほとんど萩谷氏だけが用いている表記なのでした。この場合は、普通の日本人から見れば、聞き分けができないでしょうから、従来使われている「コルベール」を使った、CNN.co.jp の判断は正しいでしょう。また、コルバートも非常によく使われているようですから、"Long Tail World" がコルバートとしたのも極自然なことで、なぜコルベアに訂正したのか不思議です。
ついでに言えば、「スティーヴン」は、どちらかといえば、使うべきでないと思われます。日本語では、英語の「ブイ」ではじまる言葉と「ビー」ではじまる言葉の区別はしませんというか、前者がありません。従って、ベルサイユ、ベトナム、ベテランなどと表記するのですから、スティーブンの方がこの場合は正しく、スティーヴンは限りなく間違いに近いと言えるでしょう。検索では、こぼれます。
日本語のなかにすでになじんでいる言葉を使って、全体としての内容を円滑に伝達するというのが翻訳の役割ではないでしょうか。少なくとも、素人に向かって、かなり特異な表記が正しいと強く主張するというのは、翻訳をする方のすることではないでしょうね。
英国のスパイのためにexcecutedた若い学者
あなたには耳はあるのですか? あのビデオの音声を聞いて、コルベールにきこえたらどうかしています。 はっきりコルベアといっていますよ。
これには理由がある。 Colbertはフランス系の名前です。 だから最後のtを省いてrで終る。 ところで英語のrはアと聞こえる。これは常識です。 よって、Colbertを英語発音で言うとコルベアになる。 証明終わり。
私は、萩谷大先生の生徒ではないのですから、こんなこと書かれて黙ってはおれませんね。なぜ耳で聞いて分かることを代数のように証明するんですかね。つまりそういう風に聞こえなくてはいけないというわけです。まるで「朕思うに・・・」の教育勅語の世界です。
小学生から英語を習わせることが問題になっていますが、日本語をしっかり習得していないから、英語やフランス語ができても、きちんとした翻訳ができないということはありそうです。また、人に何かを伝達しようという気持ちも全く感じられませんが、やはりそういう訓練がなおざりになっていたのでしょう。TUPの方々といっても、約2名ですが、非常に乱暴で、説得ということをおそらく知らないのでしょう。短い文章をほど文章力が分かるのですが、短文を拝見した限り、萩谷先生が自分の考えを書かれたものは内容が極めて幼稚です。これは思考の訓練が足りないということでしょう。(このような稚拙な文章に合いの手を入れて嬉々としている自称英語の専門家もいるのですから笑ってしまいますね。誰とは書きませんが、� ��当者は名乗り出ないほうが賢明です。)こういう方々の例をみると、石原慎太郎氏や藤原正彦氏の小学生に対する英語教育に対する強硬な反論は大いに理解できます。つまり彼方からの攻撃の対象になりうるという自覚を持ちなさいよ。(ちょっとひねると、根本的に弱いところがあるということも言えると思うのですがそれはまた別の機会に。)
(追記) "ブイ" の表記
現在、当サイトでは、"Dave vonkleist"氏を「デイブ=ヴォンクライスト」と表記しています。しかしはじめは、一部「フォンクライスト」と表記していた部分もありました。"vonkleist" という綴りから判断すると、ドイツやオランダ系の名前ですから、フォンクライストとしたのです。従来この綴りについては「フォン〜」が普通です。日本に紹介されていたのがヨーロッパ大陸の人物がほとんどだったからでしょう。しかし、アメリカ人のヴォンクライスト氏自身が濁音で言っているのですから尊重すべきです。また、日本への紹介者のGPCは「デイブ=ヴォンクライスト」と表記していました。従って、その方が通りが良いと思いならいました。
本来なら「ボンクライスト」と表記したいところです。なぜかといえば、「デイブ」ですから、「ボンクライスト」のほうがつりあいはとれます。「デイヴ=ヴォンクライスト」もつりあいはとれますが日本語の従来の書き方から見ると挑戦的過ぎます。
英語の元の音に近づけるために「ヴ」を使うのですが、彼の名前の中で「ラ」の字はどうなりますか。普通、"エル" も "アール" も「ラ行」で表記しているのですから、「ヴ」を使う理由はありません。最初の紹介者というものはこういう基本的な面でも責任重大と思います。英語が読めても、日本語がしっかりしていないとこうなっちゃうんでしょうね。私のような不確かな日本語の使い手にこんなこと書かれちゃしょもない話です。
補足(2008/05/18)
マイケル=ムーアの翻訳で有名な町山智浩先生は「コルベア」と表記しています(「2006-04-29 ホワイトハウス晩餐会でS・コルベアがブッシュをホメ殺し!」『ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記』)。なお、2008年5月現在、google検索のヒット数は、下の表の通り(今回はカタカナ表記のみでスペリングの別には調べていません)。さすが、町山先生の影響力は偉大です。しかし、スティーブン・コルベア以外ではコルベールという書き方が圧倒的に多いというのも事実です(「ヴ」で「ブ」はヒットするし、その逆もあります)。2年間でどれほど変化したかはもちろん不明です。つまりコルベールと表記していたものをコルベアと改めたという例がどれほどあるかは不明という意味です。結局、AMLでほとんど「切れて」しまった翻訳家の言うほどの大問題ではないのです。
検索文字列 | ヒット数 |
---|---|
スティーヴン・コルベア | 1,450 |
スティーブン・コルベア | 1,090 |
◎"スティーヴン・コルベア" | 486 |
スティーヴン・コルベール | 9,630 |
スティーブン・コルベール | 6,910 |
◎"スティーヴン・コルベール" | 8 |
"コルベア"* | 81,200 |
"コルベール" | 116,000 |
* 「コルベア」には、"Corvair" の分も含まれています。下表参照(上の表と数字的に何らかの差し引きの関係が成り立つものではなく、単なる参考です。検索文字列中の&は実際にはスペースです。)。
検索文字列 | ヒット数 |
---|---|
"コルベア" & "Corvair" | 777 |
"コルベア" & "Colbert" | 957 |
"コルベール" & "Corvairt" | 0 |
"コルベール" & "Colbert" | 5,400 |
つまり、* の"コルベア"の 81,200 という数字のうち約4割は、"Corvairt" の分が含まれる可能性がないとはいえないのに対して、"コルベール"の116,000 に"Corvairt"の分が含まれる可能性はほとんどないということです。(なお、"Kolbert"、"Kolber" については最大で3件["コルベア" & "Kolbert" の場合]ほどなので省略しました)
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